紹介20 惑星のさみだれ
2007年4月25日 読書
基本的に僕は本を買って読むタイプの人間で、大抵の本は単行本で入手して読み返してます。
と言うのも、本屋に行けるタイミングが物凄い不定期なので、雑誌は読み逃す事が多く、定期的に読み続けられる作品はほんのわずかだった為なんですが。
もちろん、定期的に読めなくても連載や新刊の情報などは入手できるので、好きな作家や作品の単行本は出たらすぐチェックして読んでいたのです。
で、それを踏まえて。
この『惑星のさみだれ』、物凄い好きな作品にも関わらず、入手したのが何と発売から二年経った先週と言う現実。
何故買わなかったんだろうなぁとか考えてみるとそう言えば余りに好き過ぎて雑誌を欠かさずチェック&何度も読み返す(立ち読みで)とかしていて内容殆ど覚えてるから買わなくていいやと思い至った記憶が。
……それで誰にも紹介できなかったとか言う、何とも勿体無い事態に気付いてしまったのが先日。
でも流石にもう勿体無さ過ぎるので。
今回は『惑星のさみだれ』です。
この作品の連載開始は三年程前。
かの問題作『戯言シリーズ』、その最終章の発売日が延び延びになっていた時期に、連載第一回を雑誌で読みました。
その頃ちょうど『戯言シリーズ』や『鏡家サーガ』を始めとする従来とは違う、冷ややかで斜に構えたキャラクター像や、感覚のずれに注目したストーリー、そして美味い具合に脱力した雰囲気を売りにした作品群に傾倒していた僕は、『惑星のさみだれ』の根底に流れる圧倒的なまでの諦観と執着心に同じ臭いを嗅ぎ取ってしまったのです。
その余りの雰囲気作りの美味さに“戯言シリーズを漫画化するとこんなになるのかなぁ”と物凄い失礼千万な事を考えてしまう程でした。
もうあの第一話の台詞
『よくある巻きこまれ型タイプの主人公は相手にペースを握られるから良くないんだな』
を始めとする、従来の主人公像からまるでかけ離れた青年・夕日が生み出す抜群の空気感と、緩急やボケとツッコミが絶妙に合わさった雰囲気が一溜まりもありませんってくらいに僕のツボにクリーンヒットしまして。
すっかり墜とされてしまいました。
作品としての売りは言い出すときりがないので絞って言いますが……この作品に深みを増しているのは“表裏”の表現にあると思います。
と言うのも、普通作品を作る上では置き捨ててしまいがちな、まるで相反する感情や要素(夕日なら諦観と執着心でしょうか)をあえて持たせ同時に表現する事によって、人間離れした話でありながらも、何処か割りきれない弱さや脆さを抱えた登場人物達を生み出しているのです。
そして、そんな彼らを舞台に立たせることによって、厭世的な雰囲気の中に何処か現実めいた、(良い意味で)これまた割りきれない空気感を作り出しています。
更に、物語そのものに散りばめられた“裏”が幾度も姿を覗かせ、また隠れるたびに、より一層この作品世界へと読者を引き込んでいきます。
本当に読み出すと止まらなくなる程に、この作品には“読ませる力”と“読める喜び”が溢れているのです。
この作品はひねくれています。
まるで予想が出来ないくらい、捻じ曲がっています。
それでも。
これほどまでに“ひねくれていること”を楽しめる漫画は類を見ません。
これほどまでに話の先を考えるのが楽しい作品はありません。
そう思えることが、この作品が読みつづけるに値する証拠なのかもしれません。
最後に、恒例ですが。
今回は声を大にして言いたいとおもいます。
是非
読んでみてください。
少なくとも、二巻までは。
と言うのも、本屋に行けるタイミングが物凄い不定期なので、雑誌は読み逃す事が多く、定期的に読み続けられる作品はほんのわずかだった為なんですが。
もちろん、定期的に読めなくても連載や新刊の情報などは入手できるので、好きな作家や作品の単行本は出たらすぐチェックして読んでいたのです。
で、それを踏まえて。
この『惑星のさみだれ』、物凄い好きな作品にも関わらず、入手したのが何と発売から二年経った先週と言う現実。
何故買わなかったんだろうなぁとか考えてみるとそう言えば余りに好き過ぎて雑誌を欠かさずチェック&何度も読み返す(立ち読みで)とかしていて内容殆ど覚えてるから買わなくていいやと思い至った記憶が。
……それで誰にも紹介できなかったとか言う、何とも勿体無い事態に気付いてしまったのが先日。
でも流石にもう勿体無さ過ぎるので。
今回は『惑星のさみだれ』です。
この作品の連載開始は三年程前。
かの問題作『戯言シリーズ』、その最終章の発売日が延び延びになっていた時期に、連載第一回を雑誌で読みました。
その頃ちょうど『戯言シリーズ』や『鏡家サーガ』を始めとする従来とは違う、冷ややかで斜に構えたキャラクター像や、感覚のずれに注目したストーリー、そして美味い具合に脱力した雰囲気を売りにした作品群に傾倒していた僕は、『惑星のさみだれ』の根底に流れる圧倒的なまでの諦観と執着心に同じ臭いを嗅ぎ取ってしまったのです。
その余りの雰囲気作りの美味さに“戯言シリーズを漫画化するとこんなになるのかなぁ”と物凄い失礼千万な事を考えてしまう程でした。
もうあの第一話の台詞
『よくある巻きこまれ型タイプの主人公は相手にペースを握られるから良くないんだな』
を始めとする、従来の主人公像からまるでかけ離れた青年・夕日が生み出す抜群の空気感と、緩急やボケとツッコミが絶妙に合わさった雰囲気が一溜まりもありませんってくらいに僕のツボにクリーンヒットしまして。
すっかり墜とされてしまいました。
作品としての売りは言い出すときりがないので絞って言いますが……この作品に深みを増しているのは“表裏”の表現にあると思います。
と言うのも、普通作品を作る上では置き捨ててしまいがちな、まるで相反する感情や要素(夕日なら諦観と執着心でしょうか)をあえて持たせ同時に表現する事によって、人間離れした話でありながらも、何処か割りきれない弱さや脆さを抱えた登場人物達を生み出しているのです。
そして、そんな彼らを舞台に立たせることによって、厭世的な雰囲気の中に何処か現実めいた、(良い意味で)これまた割りきれない空気感を作り出しています。
更に、物語そのものに散りばめられた“裏”が幾度も姿を覗かせ、また隠れるたびに、より一層この作品世界へと読者を引き込んでいきます。
本当に読み出すと止まらなくなる程に、この作品には“読ませる力”と“読める喜び”が溢れているのです。
この作品はひねくれています。
まるで予想が出来ないくらい、捻じ曲がっています。
それでも。
これほどまでに“ひねくれていること”を楽しめる漫画は類を見ません。
これほどまでに話の先を考えるのが楽しい作品はありません。
そう思えることが、この作品が読みつづけるに値する証拠なのかもしれません。
最後に、恒例ですが。
今回は声を大にして言いたいとおもいます。
是非
読んでみてください。
少なくとも、二巻までは。
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