やっと2桁くらい聴き返せたので感想などを。

全体の感想としてはやはり『背景』と言った感じで、日常的に、習慣的に聴きたくなるようなラインナップになっています。

全体としてのまとまりも非常に良く、聴く者の手を煩わせる事が無いように一つの確かな“流れ”として楽曲が構成されています。
要するに、聴き飛ばしたり、聴き難かったり、そういう事が極力起こらないように工夫されているのです。

変化や転換でなく、ただ『日常を生きていく』ことに目を向けた楽曲達は、繰り返しの中に埋もれてしまった“生きている感覚"を掘り起こしてくれるかのようで、聴いていてとても瑞々しさを感じます。

15年目にしてポップでもロックでも無くただ“歌”と言う原点に立ち返った彼らのアルバムは、再び僕にその魅力を再確認させてくれました。

では曲毎に。


1 叫び 祈り

おなじみ一曲目インストゥルメンタル……なんですが実は“IT’S A WONDERFUL WORLD”以来5年ぶりなので、“シフクノオト”辺りから聴き始めた人には妙に感じるかもしれませんね。

タイトル通りしっかり叫び声が収録されているのが“らしい”です。

2 Wake me up!

今回のアルバムの中で“箒星”と並んでポップ色の強いナンバー。
単純な1フレーズに力を込める、ある種シングル以上にメロとサビの関係が強調されているように感じる曲。

歌詞覚えていない内から『Wake me up!』と言わせてしまうのが流石でした。

個人的には最後の
『祈るように生きよう』
が前トラックの“叫び 祈り”と対比になっているような気が。……気がするだけなんですが。

3 彩り

今回のメインテーマに一番近い曲。
“喜び”を全体で表現したような曲調は、単純だけど大事で、忘れてしまいがちなことを気付かせてくれるようで、聴いていて嬉しくなります。

バイト中に脳内再生すると、本当に元気になってきます。

出てくる色の種類に過剰に“寒色系”、所謂悲しみや諦観、静寂を表現するような色(深い青や黒系色)が出てこないのも芸が細かいです。

『モノクロ』に寒色は映えないからかもしれませんが。

4 箒星

収録されたシングル曲の一つ。
どちらかと言えば歌詞より音を重視したくなる曲。
シングル版ジャケットの『人は誰でも 光り輝く』をイメージすれば理解しやすいとは思いますが。

とか言う僕もたまに後半の歌詞を忘れたり。

曲としては盛り上がり方が素敵で正に“ポップ”といった感じです。

5 Another Story

ピアノとブラスの旋律が素敵なバラード曲。
このアルバムは全体的に歌いやすい曲が多いですが、この曲はサビが別格です。純粋に聴き惚れる曲だと思います。
歌詞は思春期のもやもやっとした感じが表現されていて好きです。
ちなみに、何の“Another Story”だと思います?

 
6 PIANO MAN

ジャズ調に仕上がった曲。
あんまりミスチルってブラスを使ってたイメージが無かったんですが……。

過去のもう一つのジャズ調曲“虜”とは対照的な、能動的且つ自己主張の強い曲に。
タイトルの“PIANO MAN”が曲のクラブハウスのような雰囲気を盛り上げていて其処がまた良いです。

7 もっと

歌うよりも聴きたい曲。
淡々とにじみ出るように歌い上げるバラード曲でありながら

『平等の名の下に請求書と一緒に』
『どんな理不尽もコメディーに見えてくるまで』


と言った実にぶっ飛んだ台詞を詰めこみながらも、それすら内包してしまう世界観を作り出す表現力の高さには脱帽でした。

全体でかなり好きな曲。

8 やわらかい風

“彩り”が日常から共感を生み出す曲なら、この曲は恋愛から共感を紡ぎ出す曲。
比喩がイメージしやすいので歌詞が分かりやすいのも○。

最後の部分は……まあしょうがないんじゃないかと。
ここまで聴いていて次を聴かない人はいないでしょう?

9 フェイク

このアルバム唯一のロックナンバー。
ある意味一番の爆弾曲。
ベースとドラムが見事に曲を作り上げていきます。
間奏が区切り良く音をまとめているのも流石。

普通人間が言ってしまわないことを『言ってしまえ』ている時点で最早完全に別次元なんですが、自分達の言っていることすら最後に“フェイク”かも知れないことを暗示(シングル版インストでは完全に“フェイク”と言い切っていますが)していて、其処が答えを出すことで無く伝えることから始まった“ロック”と言う思想を体現している様で、更にこの曲に深みを与えています。

『HOME』の中では完全に毛色が違う曲ですが、それでもこのアルバムの中に収録されていることが“自分たちの世界(HOME)すらフェイクかもしれない”と言う可能性を示唆する様で、深い意図があるようにも思えます。

“じゃあ本物って何なんだ?”

10 ポケット カスタネット

アルバムの中で俄然盛り上がってくる曲。
歌詞は全体の中で一番短い(3番サビまでしかない)です。

前半はバラード調ですが、後半は一転激しい打ち込みに寄って曲調ががらりと変わっています。
桜井さんの透き通るような声が1番際立つ曲。

11 SUNRISE

個人的に一番アルバム曲で好きな曲。
正にタイトルの“SUNRISE”のごとく、上昇感のある旋律と歌詞との調和が驚くほど見事に成されていて、開放感溢れるナンバーになっています。

晴天の下でサビの
『思いきり息を吸いこんで この思いを空に放ちたい』
を聴くと素晴らしく気持ち良いです。

雰囲気が一番感じられる曲かも。

12 しるし

言わずと知れたバラード曲。
今までの曲の中で『恋愛の絶頂期』を内包した曲は殆ど無かった(“君が好き”くらいですか?)ので、そう言った意味では少し斬新に感じられました。

作詞の段階では恋愛のどの場面にもとれる様に作られたらしいんですが、あらゆる要素を内包できるくらい大きく、純粋に、且つ鮮烈に“愛”を示せる曲としてこの曲の持つ意味は深いです。

ピアノの旋律から始まり、あらゆる変化を受け止めながら帰結していくこの曲は、音、歌詞そのどちらも含めてただ素晴らしい、の一言に尽きると思います。

13 通り雨

今回のアルバムの中で妙に共感できた曲。
楽しげな雰囲気は1番強いかも。
何だか“靴ひも”に似た匂いを感じました。

14 あんまり覚えて無いや

過ぎ去った“日常”に思いを寄せた曲。
ラストの定番となりつつある、静かな曲調のポップとバラードの中間曲。
日々を重ねていくこと、の喜びと寂しさを同時に表現している様に思えます。

ちなみに、今回のアルバムには実際の家族が紐で家系図を作った写真が使用されています。
で、この曲に使用されている写真には子供のいない老夫婦が使われていて、それがまた曲の主旨とマッチしている様で素敵でした。


とまあ駄文ばかりでしたが感想としてはこんなところです。
勿論これはまだ二桁しか聴いていない時点での感想ですから、更に聴きこめば思いも変わるでしょうし、またこのアルバムがそれに値することを考えると僕の意見など不確かなこと極まりないんですが。
少しでも参考にしてもらえれば幸いです。

あと、パッケージも非常に好みだったんですが……今回のアルバムの凄いところは初回限定特典の素晴らしさにあります。
特典DVDにはドキュメンタリーとライブ映像が多数収録されているんですが、そのラインナップが“ストレンジカメレオン”ap bank FES版の“彩り”を始めとするとんでもない内容だったので、買った身としては嬉しさ以上に驚きが勝りました。

これで300円高いだけって……。

もし買えるなら初回版の方を入手することをお勧めします。本当に。

あらゆる意味でリスナーを満足させてくれるアルバムですので、少しでも興味が沸いたら聴いてみては如何ですか?

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