紹介16 夏のあらし! 1 (1)
2007年3月20日 読書
ISBN:4757519605 コミック 小林 尽 スクウェア・エニックス 2007/02/27 ¥410
恐らく半年振りくらいにこの週刊誌サイズの単行本を買いました。
最近めっきり大判の本ばっかりだったので非常に珍しい事この上ないです。
……まあ雑誌的に考えれば当然青年サイズのはずなんですが、それは大人の事情という奴で。
さて。
作者の小林尽と言えば最近はあの『スクールランブル』のブレイクで一気に大物作家の仲間入りを果たした人物ですが、はっきり言うと僕はそっちの『スク(略)』には殆ど興味が無かったし、読んだ事も無かったのです。(この辺には僕の週間少年誌が苦手な心情が絡んでいるのもありますが。)
だから、この作品が雑誌で連載が始まった時にも、僕の興味は蚊ほども沸いてきませんでした。
で、そんなこんなの内に忘却の彼方へと行ってしまって。
そして先日。
本来なら縁が無かった、で終るだけのこの作品を僕は手に取りました。
こうしてコミック化され、この手に取るまで、何の意識もしていなかったこの作品を。
引き寄せられる様に、と形容するのが一番しっくり来る気がするんですが……一目見て、手にとって、閉じて、レジに直行する一連の流れの中で僕はある種の昂揚感を抱いていました。
『またこんな本が読めるなんて』と。
作者買い、表紙買い、おまけ買い、大人買いとあらゆる本の買い方を実践してきた僕がこの本に対してしたのは“ジャンル買い”でした。
好きな作品を挙げると限が無いんですが、好きなジャンルを挙げるとなるとまず真っ先に“ジュブナイル”と言う単語が浮かび上がってきます。
“ジュブナイル”、すなわち『少年少女を主人公にしたフィクション作品』。
まあこれは余りにもざっくばらんな表現なんですが、簡単に言えば“未知との遭遇をテーマにした作品”で“主人公が少年少女”と言う―
要するに子供の頃誰もが読むであろう冒険小説や怪談もの、あの手の児童向けの瑞々しい表現が大好きだったんですよ。ちょっと背伸びをして見た、という感じの表現が。
で、今回の『夏のあらし!』はそんな“学校の怪談”シリーズを観て育ったようなジュブナイル直撃世代の僕のツボに限りなくクリーンヒットしたのです。
夏の片田舎という舞台。
謎の高校生らしき少女との出会い。
古びた写真。
タイムトリップ。
そして浮かび上がる新たな謎。
考えているだけでご飯三杯はいけます。
“何者とも戦わなくてよかった昔”を思い出すような空気感と、“無力な子供の、精一杯の強がり”みたいなテイスト。
読み出すと止まらなくて一気に読んでしまった数多の作品と同じように、この『夏のあらし!』には何もかもが新鮮に思えたあの頃の輝きが全編に溢れているのです。
ジュブナイルと言うジャンルが最大のテーマとしている“出会いと別れ”、そして本編1ページ目の台詞など、結末を予想させるファクターは其処彼処にありますが、そう言った意識的な誘導も含めて、この作品の読者に対する“引きこみ方”は並々ならぬものがあります。
まだ僕が『好きなだけ』ではありますがこの作品が万人に『薦められる』ような結末を迎えるまで見守っていきたいと思います。
この作品の輝きが褪せないことを祈って。
『いやぁ、本屋って本当に良いですね。』
恐らく半年振りくらいにこの週刊誌サイズの単行本を買いました。
最近めっきり大判の本ばっかりだったので非常に珍しい事この上ないです。
……まあ雑誌的に考えれば当然青年サイズのはずなんですが、それは大人の事情という奴で。
さて。
作者の小林尽と言えば最近はあの『スクールランブル』のブレイクで一気に大物作家の仲間入りを果たした人物ですが、はっきり言うと僕はそっちの『スク(略)』には殆ど興味が無かったし、読んだ事も無かったのです。(この辺には僕の週間少年誌が苦手な心情が絡んでいるのもありますが。)
だから、この作品が雑誌で連載が始まった時にも、僕の興味は蚊ほども沸いてきませんでした。
で、そんなこんなの内に忘却の彼方へと行ってしまって。
そして先日。
本来なら縁が無かった、で終るだけのこの作品を僕は手に取りました。
こうしてコミック化され、この手に取るまで、何の意識もしていなかったこの作品を。
引き寄せられる様に、と形容するのが一番しっくり来る気がするんですが……一目見て、手にとって、閉じて、レジに直行する一連の流れの中で僕はある種の昂揚感を抱いていました。
『またこんな本が読めるなんて』と。
作者買い、表紙買い、おまけ買い、大人買いとあらゆる本の買い方を実践してきた僕がこの本に対してしたのは“ジャンル買い”でした。
好きな作品を挙げると限が無いんですが、好きなジャンルを挙げるとなるとまず真っ先に“ジュブナイル”と言う単語が浮かび上がってきます。
“ジュブナイル”、すなわち『少年少女を主人公にしたフィクション作品』。
まあこれは余りにもざっくばらんな表現なんですが、簡単に言えば“未知との遭遇をテーマにした作品”で“主人公が少年少女”と言う―
要するに子供の頃誰もが読むであろう冒険小説や怪談もの、あの手の児童向けの瑞々しい表現が大好きだったんですよ。ちょっと背伸びをして見た、という感じの表現が。
で、今回の『夏のあらし!』はそんな“学校の怪談”シリーズを観て育ったようなジュブナイル直撃世代の僕のツボに限りなくクリーンヒットしたのです。
夏の片田舎という舞台。
謎の高校生らしき少女との出会い。
古びた写真。
タイムトリップ。
そして浮かび上がる新たな謎。
考えているだけでご飯三杯はいけます。
“何者とも戦わなくてよかった昔”を思い出すような空気感と、“無力な子供の、精一杯の強がり”みたいなテイスト。
読み出すと止まらなくて一気に読んでしまった数多の作品と同じように、この『夏のあらし!』には何もかもが新鮮に思えたあの頃の輝きが全編に溢れているのです。
ジュブナイルと言うジャンルが最大のテーマとしている“出会いと別れ”、そして本編1ページ目の台詞など、結末を予想させるファクターは其処彼処にありますが、そう言った意識的な誘導も含めて、この作品の読者に対する“引きこみ方”は並々ならぬものがあります。
まだ僕が『好きなだけ』ではありますがこの作品が万人に『薦められる』ような結末を迎えるまで見守っていきたいと思います。
この作品の輝きが褪せないことを祈って。
『いやぁ、本屋って本当に良いですね。』
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